H23 基盤研究(B) H24 挑戦的萌芽研究 H25 研究領域提案型 H25 研究活動スタート支援

平成23年度 科学研究費助成事業
科学研究費補助金(基盤研究(B))

1. 課題番号:23360065

2. 補助事業期間:平成23年度〜平成25年度

3. 研究課題名:機械的加工と自己組織化を併用した規則配列ナノドットアレイの効率的製造法

4. 研究代表者:吉野 雅彦(東京工業大学理工学研究科)

5. 研究分担者:松村 隆  (東京電機大学工学部)
          梅原 徳次(名古屋大学工学研究科)

6. 研究目的:
 本研究は、数10nmレベルのナノドットを規則的に配列したアレイ構造を製造するための低コストで効率的なプロセスを開発することを目的としている。 本プロセスは、設備コストの掛かるEBリゾグラフィ法を用いず、ローラーナノインプリントによるパターニングと焼鈍による自己組織化 という簡便な機械的加工技術によることを特徴としている。本プロセスにより、次世代デバイスに要請されている直径10nmレベルの規則的ナノドットアレイを実現し、 わが国が直面する資源問題、環境問題、エネルギー問題解決への糸口を提示することを目指している。

7. 研究実績
【平成23年度】
 ナノインプリントに用いるマスターモールドを作製するため、位置決め分解能1nmの超精密ステージ、空気ばね式除振台を 用いた超微細塑性加工装置を開発した。さらに超微細塑性加工に使う微細ダイヤモンド工具を開発し、数10nm〜数100nm間隔 の微細格子溝列を有するマスターモールドの作製に成功した。次に、新たに購入したRFスパッター装置を用いてマスターモールド にTiN+Ni薄膜をコーティングし、それを剥離することにより薄膜モールドを開発した。さらにこの薄膜モールドを用い、 石英基板にコーティングした金薄膜に格子溝パターンをナノインプリントし、焼鈍を施すことにより800nmピッチで規則配列した ナノドットアレイを作製することに成功した。一方、ナノドットアレイに光を照射したときに生じる局在表面プラズモン共鳴による 光学特性を検討し、規則配列したナノドットアレイでは非常に明瞭な吸収スペクトルが得られることを明らかにした。 またナノドットに吸着した分子の影響により吸収スペクトルが変化することを示した。これによりタンパク質などの検出を行う バイオセンサーへ応用できることを示した。さらにナノドットアレイを積層化し3次元ナノドットアレイを製造することに成功した。 これらの実験的検討に合わせて、焼鈍に依るナノドットアレイの凝集過程および局在表面プラズモン共鳴現象を理論的に検討するため、 数値シミュレーションを開発した。

【平成24年度】
(1) ナノインプリント用大面積マスターモールドの開発:マスターモールドを効率的に製造するため、 新たに除振台を購入し、そこに前年度開発した超微細引掻き加工装置を設置した。マスターモールド基板材として焼入鋼、 Ni−Pめっきした焼入鋼、石英ガラス板を用いた。本装置を用い加工領域20mm×20mmに微細溝を作成することに成功し、 大面積基板作成が可能であることを示した。しかし溝幅が約1μmレベルであり、それより微細な溝の加工は困難であった。 またダイヤモンド工具の摩耗が問題になることが判った。
(2) ナノインプリント用薄膜モールドの開発:石英基板に作成したマスターモールドの型を転写して薄膜モールドを作成する方法を検討した。 マスターモールドを繰り返し使えるようにするため、マスターモールドよりPMMA樹脂、さらにUV硬化樹脂に転写し、 そこにNiスパッターコーティングおよび電解めっきを施すプロセスを検討した。Niスパッターコーティング膜の生成までは成功したが、 そこにNiめっきを施す時点でNi層が型から剥離してしまい、薄膜モールドが上手く作成できない問題が生じた。次年度この問題の解決を目指す。
(3) 規則的ナノドットアレイを用いたバイオセンサーデバイスの開発:ナノドットアレイに生じる局在表面プラズモン共鳴を利用し、 タンパク質分析用センサーの開発を試みた。ナノドットアレイにタンパク質を付着させ、その吸収スペクトルの変化を調べた。
(4) ナノドットアレイの自己組織化機構の検討:ナノドットアレイが自己組織化する機構を理論的に検討した。 また多層のナノドットアレイの作成に成功した。

【平成25年度】
(1) マスターモールドの製作:ナノインプリント用の薄膜モールドのマスターモールドを超精密切削加工により作成する方法を検討した。 V型ダイヤモンドバイトを用いて深さ100nm、間隔1000nmの微細溝列の切削加工を試みた。素材として石英ガラス板を用い、 均一な微細溝が加工できることを確認した。しかし10mm角の大面積を加工すると、工具摩耗により溝形状が変化してしまうことが分かった。 さらに被削材と切削方向の平行を高精度で調整する技術が必要なことが明らかになった。
(2) ナノインプリント用薄膜モールドの作成:マスターモールドに硬質薄膜をコーティングして、その膜を剥離することにより凹凸を反転させた ナノインプリント用薄膜モールドを作成する方法を検討した。スパッターまたはNiめっきでマスターモールドに直接コーティングすると、 膜の剥離時にマスターモールドを損傷してしまうという問題がある。そこでマスターモールドからPMMA膜、PMMAからUV硬化樹脂膜、 さらにUV硬化樹脂膜からNiめっき膜に微細形状を転写する方法を試みた。その結果、転写ごとに形状精度が低下し 、最終的なNiモールドでは構造高さが1/10程度まで低下することが分かった。
(3) ナノドットアレイの光学機能デバイスへの応用:焼鈍法で石英基板上に作成した金ナノドットアレイのSERS基板への応用を検討した。 作成した金ナノドットアレイがSERS効果を示すことを確認した。さらにその効果を増大させるため二段重ねのナノドットアレイを作成し、 十分大きなSERS効果が得られることを確認した。

8. 研究業績
1) Li Zhenxing, Masahiko Yoshino, Akinori Yamanaka: Fabrication of three dimensional ordered nanodot array structures by thermal dewetting method, Nanotechnology, 23 (2012) 485303.
   URL: http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/48/485303/
2) Masahiko Yoshino, Hiroki Osawa, Akinori Yamanaka: Effects of process conditions on nano-dot array formation by thermal dewetting, Journal of Manufacturing Processes, 14, 4, Oct. 2012, 478-486.
   URL: http://dx.doi.org/10.1016/j.jmapro.2012.09.012
3) Zhenxing Li, Akinori Yamanaka, and Masahiko Yoshino, A New Process to Fabricate Three Dimensional Ordered Nano Dot Array Structures by Nano Plastic Forming and Dewetting, Key Engineering Materials Vols. 523-524 (2012) pp 627-632.
   URL: http://www.scientific.net/KEM.523-524.627
4) Truong Duc Phuc, Akinori Yamanaka, and Masahiko Yoshino, High Throughput Method to Fabricate Ordered Nano Dot Array on Various Plastic Films, Key Engineering Materials Vols. 523-524 (2012) pp 633-638.
   URL: http://www.scientific.net/KEM.523-524.633
5) Truong Duc Phuc , Masahiko Yoshino , Akinori Yamanaka and Takatoki Yamamoto, Effects of Morphology of Nanodots on LSPR property, Int. J. of Automation Technology, Vol.8 No.1(2014), p74-82.
   URL: http://www.fujipress.jp/finder/xslt.php?mode=present&inputfile=IJATE000800010009.xml
6) Zhenxing Li, Masahiko Yoshino, Akinori Yamanaka: Regularly-formed three-dimensional gold nanodot array with controllable optical properties, J. Micromech. Microeng,24, (2014)045011.
   URL: http://iopscience.iop.org/0960-1317/24/4/045011
7) Masahiko Yoshino, Hiroki Osawa, and Akinori Yamanaka: Effects of Process Conditions on Nano-dot Array Formation by Thermal Dewetting, ICTMP5 (2012) NAMRC40-7740.
8) Masahiko YOSHINO, Ryo HODOTA, Akinori Yamanaka, Willy Kurnia: Roller nano-imprinting process for rapid fabrication of functional surfaces, Proceedings of MetalForming 2012, pp.743-750.
9) Zhenxing Li, Akinori Yamanaka, and Masahiko Yoshino: A New Process to Fabricate Three Dimensional Ordered Nano Dot Array Structures by Nano Plastic Forming and Dewetting, ICPE2012/01/26.
10) Zhenxing Lia, Masahiko Yoshinoa*, Akinori Yamanaka, Optical properties of multilayer ordered gold nanodot array fabricated by thermal dewetting method, The First CIRP Conference on Biomanufacturing, (2013) pp.42-46, 2013/3/4-3/6,東大.
   URL: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2212827113000097
11) Zhenxing Li, Masahiko Yoshino, Rapid fabrication of ordered plasmonic nanostructures: from nanoblocks to nanorods, ICOMM2014,26B4-13,2014/3/26-3/28,南洋理工大学シンガポール.
12) Masahiko Yoshino, Zhenxing Li, Motoki Terano: Theoretical and experimental study of metallic dot agglomeration induced by thermal dewetting, ICOMM2014, 27B6-46,2014/3/26-3/28,南洋理工大学シンガポール.
13) 吉野雅彦、Li Zhenxing、山中晃徳:焼鈍法による金属ナノドットアレイの凝集機構,平成24年度機械学会年次大会講演論文集,(2012), J164032.
14) 吉野雅彦、山中晃徳、Li:焼鈍法による金属ナノドット凝集におけるドット寸法の制御因子, 2012年精密工学会秋期大会学術講演会講演論文集, (2012),M36,pp.903-904.
15) 吉野雅彦、山中晃徳、李振星:焼鈍法による三次元ナノドットアレイの作成、日本機械学会第4回マイクロナノ工学シンポジウム講演論文集、(2012)、OS2-2-1.
16) 吉野雅彦、保土田亮、永松明浩、山中晃徳:光学機能表面のための金属ナノドットアレイの効率的製造法、日本機械学会、第9回 生産加工・工作機械部門講演会、(2012)、pp.171-172.
17) 吉野雅彦、Truong Duc Phuc,山中晃徳,山本貴富喜:プラスチック板上に配列したナノドットアレイの効率的製造法、精密工学会平成25年春季講演会、 (2013)、pp.303-304, 2013/3/13-3/15,東京工業大学.
18) 保土田 亮, 三田 正弘, 吉野 雅彦:精密切削による金属ナノドットアレイ作製用モールドの開発、精密工学会平成25年春季講演会、(2013)、pp.301-302, 2013/3/13-3/15,東京工業大学.
19) 吉野 雅彦,永松明浩, 二宮 崚: 金属ナノドットアレイの光学的特性, 日本機械学会 2013年度年次大会講演論文集CD,J112032, 2013/9/9-9/11,岡山大学.
20) 吉野雅彦、Truong Duc Phuc:焼鈍法により生成した金属ナノドットの形態とそのLSPR特性、機機械学会第5回マイクロナノ工学シンポジウム講演論文集,(2013-11) 2013/11/5-11/7,東北大学.
21) 李 振星,Dao Duy Thang,長尾 忠昭,吉野 雅彦: 積層型金属ナノ構造アレイを用いた表面増強ラマン散乱, 第61 回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集,2014 /3/17-3/19,青山学院大学, pp3-173.
22) 吉野雅彦,Truong Duc Phuc,寺野 元規: パターニングした基板を用いた焼鈍法による金属ナノドットアレイの作製法, 2014年度精密工学会年春季大会学術講演会講演論文集,(2014), pp.941-942,2014/3/18-3/20, 東京大学.



平成24年度 科学研究費助成事業
学術研究助成基金助成金(挑戦的萌芽研究)

1. 課題番号:24656100

2. 補助事業期間:平成24年度〜平成25年度

3. 研究課題名:プレス加工に依る自在な結晶方位制御法の検討

4. 研究代表者:吉野 雅彦(東京工業大学理工学研究科)

5. 研究分担者:寺野 元規(東京工業大学理工学研究科)

6. 研究目的:
 小型モーターは自動車、家電、情報機器など多くの工業製品に多数用いられており、そのエネルギー効率の向上は世界レベルでの 電力消費量削減ならびにCO2排出量削減に非常に大きな効果がある。小型モーターの効率向上には、ローターやステーターなどモーターの鉄芯の磁気特性の 向上が有効である。モーターの鉄芯の成形過程(プレス加工)を利用し、鉄芯中の磁力線の経路・分布沿って鋼板の結晶の磁化容易軸(<100>方位)を揃えることが 出来れば、鉄芯の磁気特性(透磁率)を大幅に高めることが可能になり、各種小型モーターの効率を向上させることができると期待される。 本研究では、鉄芯用の低炭素鋼板において、剪断塑性ひずみ付与による結晶方位制御の可能性を明らかにし、その原理を検討することを目的とする。 さらにプレス加工を用いて結晶方位分布を自在に変化させ高機能鉄芯を開発するための指針を示す。

7. 研究実績:
【平成24年度】
 試験片に種々の剪断ひずみを与えるためにプレス装置を模擬した実験装置を開発した。 本装置は鉄板の剪断加工を行いながら同時に工具に微細な振動を加える装置であり、パンチとダイのクリアランス部に繰返し剪断応力を与えることが出来る。 さらにこの試験片を焼鈍し再結晶を起こさせる。焼鈍前後の試験片についてEBSD装置で分析し、結晶粒径、結晶方位分布などの違いを検討した。

【平成25年度】
 前年度開発した振動プレス加工実験装置を用いて、プレス加工条件が熱処理後の静的再結晶組織に及ぼす影響を調べた。 純鉄板より試験片を切り出し、ひずみ取り焼鈍を行った後、振動プレス加工実験に用いた。平均プレス荷重は試験片が剪断変形を起こし始める値に設定し、 ピエゾアクチュエータにて十分大きい振幅で荷重振動を与えた。荷重振動を18000回加えたのち、700℃〜900℃×1時間の条件で焼鈍を行った。 それらの試験片の断面を研磨し、EBSD分析により結晶粒の分布およ結晶方位分布を調べた。その結果、
@焼鈍温度700℃〜800℃の試験片において、プレスで剪断ひずみを加えた部分に大きな結晶が成長している試験片が見られた。
Aこれらの大きく成長した結晶粒はRD穂軸方向に対して<111>方向が10度以内の方位を有していた。
B同条件で加工・熱処理しても結晶粒が粗大化しなかった試験片の結晶方位はAとは大きく異なる方位を有していた。
 これらの結果から、剪断変形を加えたことにより特定方向の結晶が大きく成長したことが推察される。すなわち変形域内の結晶は結晶方位によって変形し易さが異なるため、 結晶法によって転位の蓄積量が異なるはずであり、その後試験片を焼鈍したときこれらの転位の蓄積量の違いにより、粒成長のし易さが異なったものと推察される。そのため、 剪断域内に適当な結晶方位の粒が存在した場合、優先的にその粒が成長し、一方、そのような粒が存在しない場合、粒成長が見られなかったものと説明できる。以上より、 本手法により再結晶粒の方位を制御する可能性が示された。

8. 研究業績
1) 廣澤 勇二、寺野 元規、吉野 雅彦、鳥塚 史郎:鉄板の組織変化に及ぼすせん断ひずみの影響, 平成25年度塑性加工秋季連合講演会講演論文集、2013/11/1-11/3,大阪大学.
2) <発表申込中>Yuji Hirosawa, Motoki Terano, Masahiko Yoshino: Influence of repeated shear strain on recrystallization of iron sheet, 11th International Conference on Technology of Plasticity, ICTP 2014, 19-24 October 2014, Nagoya Congress Center, Nagoya, Japan.



平成25年度科学研究費助成事業
新学術領域研究(研究領域提案型)

1. 課題番号:25109705

2. 補助事業期間:平成25年度〜平成26年度

3. 研究課題名:精密機械加工を援用した自己組織化による超微細素子の効率的製造法

4. 研究代表者:吉野 雅彦(東京工業大学理工学研究科)

5. 研究分担者:松村 隆  (東京電機大学工学部)
          山中 晃徳(東京農工大学工学研究科)

6. 研究目的:
 可視光に対するメタマテリアルを実現するためには光の波長より小さい微小金属共振素子を効率的に生成する手法の開発が不可欠である。 そこで申請者らが開発した、超微細塑性加工と焼鈍による自己組織化を組合わせた規則的ナノドットアレイ作成法を発展させ、 C 型コイルアレイなど複雑な形状の微小金属共振素子を石英基板上に作成する方法を開発することを目的とする。このために、 @自己組織化における形状制御性、A金属共振素子の微細化について検討する。

7. 研究実績
【平成25年度】
●金属薄膜への自在なパターニング可能な超微細塑性加工装置の開発:
 本プロセスでは石英ガラス基板に金属薄膜をスパッターコーティングし、そこに様々な任意の微細溝パターンを加工する。 その基板を焼鈍することにより金属薄膜を様々な形状の金属微細素子に凝集させる。ここで微細溝パターンにより凝集形状を制御するため、 自在な微細溝が加工できる超微細塑性加工装置を開発した。また自在な微細溝パターンを加工するためのダイヤモンド製微細工具を作製した。 これは単結晶ダイヤモンド工具表面をFIBでエッチング加工し、等間隔に配列した微細突起列を作成したものである。 また先端を鋭く研磨したナイフエッジ型工具も作製した。
●焼鈍による熱Dewettingにおける凝集形状の制御:
 開発した超微細塑性加工装置とダイヤモンド工具を用いて、石英ガラス基板にコーティングした金薄膜に、種々の微細溝パターンを加工し、 焼鈍による熱Dewettingにて金薄膜を凝集させる実験を行った。ナイフエッジ工具にて加工した長方形型パターンの場合、長方形の寸法が適切な場合、 ロッド状の微細金属素子を作成することに成功した。一方、微細突起列型ダイヤモンド工具を用いてC型素子のための微細溝を加工したところ、 溝パターンが正確に描けないという問題が生じた。この原因は超微細塑性加工装置の剛性が足りないことが原因であった。 次年度は装置剛性の向上により、この問題を解決できると考える。

9. 研究業績
1) <発表申込中>Takayuki Ueno, Motoki Terano, Masahiko Yoshino: Templated Thermal Dewetting Process by Utilizing NPF Technology, 11th International Conference on Technology of Plasticity, ICTP 2014, 19-24 October 2014, Nagoya Congress Center, Nagoya, Japan.



平成25年度科学研究費助成事業
科学研究費補助金(研究活動スタート支援)

1. 課題番号:25889019

2. 補助事業期間:平成25年度〜平成26年度

3. 研究課題名:バニシング加工を利用した結晶方位制御法の検討

4. 研究代表者:寺野 元規(東京工業大学理工学研究科)

5. 研究目的:
 本研究はモーター効率を向上させるため,モーター鉄芯内の磁力線に合わせて磁化容易軸(<100>方位)をそろえる加工技術の開発を目的とする. 結晶方位を制御するために,バニシング加工および熱処理による静的再結晶を利用する.本技術により,鋼板の結晶方位を制御し, 小型モーター用の鉄芯鋼板における磁力線方向と結晶の磁化容易軸とをそろえる事が可能となる.また,結晶方位制御技術の原理の解明も目的とする.

6. 研究実績
【平成25年度】
○せん断ひずみによる結晶方位制御に関する検討
 純鉄板(ひずみ取り焼鈍材)を試験片とし,せん断加工試験と熱処理(700℃〜900℃,1時間)による再結晶粒の大きさ,結晶方位分布をEBSD分析により調べた. せん断加工により導入されたせん断変形(せん断ひずみ)と熱処理(焼鈍)により,ある特定の結晶方位を持つ結晶粒が成長する傾向が観察され, 結晶粒(再結晶粒)の結晶方位を制御できる可能性が示唆された.
○円周方向にせん断ひずみを導入するためのバニシング加工装置を開発
 均一なせん断ひずみを付与する事を目的とし,バニシング加工装置を設計・製作した. バニシング加工は表面を滑らかにする加工法であるが,ここでは,通常よりも大きな加工荷重を加えることにより, 試験片内部にもせん断ひずみを付与できるように設計した.加工条件(加工荷重,潤滑剤)により表面性状が異なるため,表面性状が良好となる条件を調べた.

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Yoshino and Yamamoto laboratory, Tokyo Institute of Technology.

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